読んだ:Shifrinson, J. R. I. (2016). Deal or no deal? The end of the Cold War and the US offer to limit NATO expansion. International Security, 40(4), 7-44.

Shifrinson, J. R. I. (2016). Deal or no deal? The end of the Cold War and the US offer to limit NATO expansion. International Security, 40(4), 7-44.

原文:https://direct.mit.edu/isec/article-pdf/40/4/7/1843672/isec_a_00236.pdf

 

また暇だったから読んだ。この論文はいろいろ書いてるが主張はシンプルで、以下の通り。

  • アメリカはドイツ統一を交渉する際に、NATOの東方拡大は行わないことを約束することでソ連側を譲歩させた。文書にして合意を取ったわけではないが、約束があったのは間違いない。
  • しかし、アメリカはNATOの東方拡大をその時点ですでに考えていて、実は二枚舌だった。
  • ロシアが約束を反故にされたと怒るのは根拠のないでたらめではないのだから、アメリカ人は反省し、ロシア人の抱く不信感に正面から向き合うべきである。

私の感想ですが、アメリカが不誠実であったことは疑いがないが、ソ連も簡単に騙されすぎじゃないか?まあ国のトップが約束を簡単に破るなんて思わないか普通。

Mearsheimer, J. J. (2014). 読んだ:Why the Ukraine crisis is the West's fault: the liberal delusions that provoked Putin. Foreign Aff., 93, 77.

今日も読んだ。ミアシャイマー先生の有名なやつ。

Mearsheimer, J. J. (2014). Why the Ukraine crisis is the West's fault: the liberal delusions that provoked Putin. Foreign Aff., 93, 77.
リンク:https://ius.bg.ac.rs/wp-content/uploads/2023/03/5.-John-J.-Mearsheimer-Foreign-Affairs-2014-2022.pdf
 
リンク先にくっついてたのでついでにこれも読んだ。
Mearsheimer, J. J. (2022). Playing With Fire in Ukraine. The Underappreciated Risks of Catastrophic Escalation. Foreign Affairs, 17, 2022.
内容はYoutubeに落ちてる講演と同じだし、いまさら真面目に要約するのもめんどいので、雑に要約する。
 
一つ目の論文は、2014年のウクライナ危機に関するものである。ロシアはNATOウクライナに拡大することは許さないということを明確に表明してきた。しかしアメリカはウクライナ内政干渉をして、親露派のヤヌコヴィッチをクーデターで追い落とし、親欧米政権を作った。こういうことをすればロシアが反発するのは当然予想できたことであるから、今回の件は西側が原因である。ウクライナはロシアにとって大変重要な地域であるから、ウクライナを反ロシアの国にすることは不可能である。西側はウクライナNATOに入れようとするのではなく、ロシアとの間のバッファーゾーンとして扱うべきである。今の方針を西側が続けるならば、NATOとロシアは衝突に向かう。
 
二つ目の論文は、ウクライナ戦争が始まってから書かれたものである。欧米の支援により、ウクライナにロシアが感じる脅威は、戦争が始まってからますます強くなっている。そのため、ロシアの戦略目標は開戦当初より拡大しており、ウクライナ戦争に勝利することの重要性が増している。また、西側もこの戦争に深く関与しているため、妥協が難しい状況である。したがって、停戦協定が近いうちに成立する可能性は低い。戦争は様々な形でエスカレートする可能性があり大変危険だが、いまさらどうしようもない。

読んだ:Layne, C. (2018). The US–Chinese power shift and the end of the Pax Americana. International Affairs, 94(1), 89-111.

Layne, C. (2018). The US–Chinese power shift and the end of the Pax Americana. International Affairs, 94(1), 89-111.

またまた仕事中暇だったので読んだ。

アメリカの一極覇権状態が終わりそう、という論文。コロナ前の分析なのでちょっと外れてる箇所もあるが、面白い。

今の情勢を見て普通の人はアメリカ覇権の終わりを感じると思うのでタイムリーな話題です。

原文(pdf):https://www.chathamhouse.org/sites/default/files/images/ia/INTA94_1_6_249_Layne.pdf

 

---以下概要--

パックス・アメリカーナ第二次世界大戦後、アメリカのGDPが世界の半分を占めた時代に始まった。アメリカは国連、NATOIMF世界銀行WTOを作って、アメリカにとって都合の良い世界支配体制を構築した。しかし、その世界支配体制が揺らぎつつある。格差拡大や人種問題といった内的な要因と、中国の台頭という外的な要因があるが、ここでは後者について詳しく考える。

アメリカのパワーの重要な構成要素は、①軍事力②経済力③国際制度④ソフトパワーの4つに分けられる。

①軍事力については米中には現在差があるが、その差は急速に縮まっている。また、アメリカは世界覇権を目標としているため、中東・ヨーロッパ・東アジアの3地域を支配しなければならないが、中国は東アジアおよび東南アジアにおける地域覇権を目指している。このことを考慮すると2020年代は東アジアにおいて中国が有利になり、現状に挑戦できるようになると予想されている。

②経済力の差は縮まっており、すでに購買力平価(purchasing power parity, 参考:世界の購買力平価GDP(USドル)ランキング - 世界経済のネタ帳)で測ると中国が1位である。また、名目GDPで測っても2020年代半ばには中国が1位になると予想されている(※コロナの影響などもあり、現在はもう少し先になるという予想が多い。)。アジアの国々は米国よりも中国との貿易が多くなり、経済的にはすでに中国の勢力圏に入っている。

③国際制度の面では、第一に現状の枠組み(IMF世界銀行G20など)の中で中国の力が強まっている。第二に、中国は米国主導でない独自の枠組みを作り始めている。アジアインフラ投資銀行上海協力機構、一帯一路などがその例である。

ソフトパワーの面でも、アメリカは力を失いつつある。アメリカが推奨してきたワシントン・コンセンサスはリーマンショックにより失敗であることが明らかになった。逆に中国の権威主義的資本主義(market authoritarianism, 参考:Authoritarian capitalism - Wikipedia)が成功したことにより、アメリカがソフトパワーを独占する状態ではもはやなくなっている。

以上から、アメリカはいずれ覇権国の地位を失うことになる。とはいっても、すぐに中国がグローバルな覇権国になるわけではなく、地域的な覇権国になるということである。中国はいずれアメリカに有利な現在の国際秩序を変更しようとするだろうが、アメリカがそれを受け入れられなければ、米中戦争が起こる可能性が高い。

読んだ:Layne, C. (1994). Kant or Cant: The Myth of the Democratic Peace. International Security 19(2), 5-49.

Layne, C. (1994). Kant or cant: The myth of the democratic peace. International security, 19(2), 5-49.

著者:クリストファー・レイン - Wikipedia
原文(pdf):

https://web.stanford.edu/class/polisci243b/readings/v0002542.pdf

仕事中暇だったので読んでみたら面白かったので概要を記録。

そもそも民主的平和論って冷戦時代の感覚が慣性として残ってるだけの代物だろ、さすがに論文古すぎだし今更批判を読んでもおもんないんじゃないか、と思ったけどそういえばマスコミはずっとこんなんだし日本政府もこんな感じだった。。
この論文が書かれた時代は冷戦の空気が残ってたから民主的平和論ももっともらしく感じられ、批判も新鮮だったのかもしれないな、と思うと少し面白い気がした。

もちろん要約の正しさは保証しません、気になったら原文を見てね。

 

--以下概要--

民主的平和論(民主的平和論 - Wikipedia)の主張は、民主主義国同士は①戦争をめったにしない②もめても武力による脅しをめったに行わない、ということである。

根拠としては、①政治制度の構造②民主主義の規範・文化の2種類が挙げられる。しかし、①は民主主義国家と民主主義でない国家のペアが民主主義でない国家同士と同じくらい戦争することを説明できない。②は民主主義の規範・文化が共有されていることにより、国際問題が国内問題と同様に平和的に解決できるという議論である。①はダメなことが明らかなため、②を根拠と考えて民主的平和論をチェックする。

テストケースとして、民主主義国同士が戦争の寸前で戦争を回避した例を考え、戦争が回避されたメカニズムが民主的平和論の提示するメカニズムで説明されるか、現実主義で説明されるかを考える。
例1:トレント号事件 - Wikipedia
例2:Venezuelan crisis of 1895 - Wikipedia
例3:ファショダ事件 - Wikipedia
例4:ルール占領 - Wikipedia

結果、どのケースも民主的平和論ではなく現実主義で説明される。
これらの例で少なくとも一方の国は戦争する気まんまんで、戦争が回避されたのは他方の国が現実主義的な計算で引き下がったからに過ぎない。
したがって、民主的平和論の理論的根拠には説得力がない。

統計的根拠も怪しい。①そもそも戦争自体そんなに頻繁に起こらないこと②1945年までは民主主義国自体が少ないことから、民主主義国同士の戦争が少ないのは当たり前である。さらに、戦争をした一方の国が民主主義国でないならば民主的平和論の反例から除外できるが、かなり無理なケースも除外されている。民主的平和論とは逆に、国際関係が国内体制を決める、すなわち「戦争の危機にある国は民主主義になりにくい」という因果関係も成り立ちうる。

理論上は崇高に聞こえるが、民主的平和論に基づきアメリカは、過剰な軍事介入、過剰に拡張的な政策を行い、勢力を減退させている。例えば、民主的平和論に基づき東欧を民主化する際、NATOを拡大し、安全を保障しようとした。しかし東欧はもともと不安定な地域であり、NATOの東方拡大によりアメリカはドイツ・ウクライナ・ロシアなどが関与する地域紛争に巻き込まれるリスクを明らかに増加させている。民主的平和論は事実ではなく願望に基づいた理論であり、アメリカはこのような理論を採用するのをやめて、現実的に考えるべきである。

 

 

20230519(古典的な問題)

今日は在来線で浜松まで行く。電車に乗る時間がだいたい5時間ある。暇すぎるので、古典的な問題をちょっと考えて暇を潰すことにした。はなくそみたいな文章だから暇な人しか読んではいけない。

○神様はいるの?という問

古くからこの疑問は存在しているし、子供のとき大人に尋ねた人も多いと思う。大体いるって答えが返ってくる。幼児は単純なのでそう言われると本当に神様がいると思う。しかし小学生も後半になると少しずつよく分からなくなる。なぜなら、「①誰も神様に会ったことはない」し「②理科の授業では天には天国ではなく宇宙があると習う」ので、素朴に考えると神様のいる証拠もスペースもないことになるからである。

子供が神様の存在を疑い始めるのはもっともなことのような気がする。神様がどこかに物質的に実在しているかのような話を聞かされてきたのに、自然科学からするとそうは思えない。しかし、自然科学により神様の物質的存在が否定されても宗教は(弱りつつも)生き残っている。では、何を思って神様を信じることが出来るのか、考えてみたい。

○言葉の定義

問題を考えるときに重要なのは、今自分がどんな問題を考えているのかを考えることである。問題が何なのか分かれば問題の答えは自然と分かる、みたいなことを偉い人が言った、というのをきいたことがあるようなないような。今の問題が解けない根本原因は、「神様」という言葉と「存在する」という言葉の両方が未定義語であることだと思われる。問題が分かれば答えが分かる、という偉い人の言葉を信じるとするなら、①神様とは何か、②存在するとはどういう意味か、という2つの問に答えれば、今の問題に対して何かしらの答えが見つかることが期待される。

○飽きた

ていうかこんな話、昔に賢い人がたくさん考えてるんだからまずは本でも読んで勉強するべきなんだよね。でも自分で考えるのも勉強するのも面倒だから誰か頭のいい人に教えてほしい。下手の考え休むに似たりと言うけど、私はそろそろ眠いので普通に休むことにする。いま何時だと思ってるんだ。こんなの書かずに寝た方がいいし、こんなの読まずに寝た方がいいよ。